ごあいさつ

少し大げさかも知れませんが,脳科学と情報通信技術は時代を牽引する2大潮流と云えるのではないでしょうか。情報通信技術はすでに大きく成長していて,多くの利便を私たちに与えてくれていますが,なお継続して成長の途中にあります。一方,脳科学は生まれて間もない幼児のよう様態にあります。この幼い科学を人類の悠久の友として育んでゆくことは現在の科学者,技術者ばかりでなく多くの人々の未来へのかかわり方の一つではないかと思われます。情報通信技術との連携を保ちつつ脳科学を育てる活動は人々の未来を明るくすることでしょう。それは,通信の核心には,「人と人,人とモノとの関係を強める」作用が内在すると思えるし,少数の手によって育つ科学技術はそれ自体狭小な目的をもってしまうことがままあると思えるからです。この作用を効率よく媒介するものがネットワーク機能なのだと言えるのではないでしょうか。物理的なネットワークの自在性はワイヤレス技術を基本として確固としたものになると思われますし,その自立性と協調性の狭間をインターネットが当分の間支えると予測されます。その先に何がくるかを示すことが,これからの私たちの仕事の一つになることでしょう。

特定非営利活動法人Wireless Brain Network(通称NPO WBN)を通して,私たちはこれから知り合うことになる方々,あるいは一緒に活動をし,また支援してくださる方々とこの大き過ぎるとも思えるテーマの下で世界に羽ばたいてゆけたらと思っています。


 理事長 堀越 淳